ワークショップデザインについて

ワークショップという言葉が市民権を得てからしばらく経ちました。しかし僕がワークショップを「参加者が何かを作る場所(=工房、アトリエ)」として認識したのはずいぶん最近です。

原因はフランス文学会にあります。他の学会のことは知りませんが、仏文学会では「ワークショップ」がほぼ「パネルディスカッション」を指すのです。というわけで、僕はワークショップが「研究発表」を意味するのだと思い込んでおり、「ワークショップ型授業」などの意味がよくわかりませんでした。

各学会の方法論はそれとして、関わるものが定義を下す「ワークショップ」のアメーバ的性質のせいで「損」をしてしまう人たちがいるように思います。

学会や研究会などで「ワークショップ型」を謳うとき、往々にしてありがちなのが「登壇者だけが話してしまい、参加者の関わりがなかった」という問題や、「グループワークの意味が今ひとつわからなかった」という問題です。ワークショップを個別の理解で捉えた人がそのまま企画してしまうことで、参加者の満足度を下げる問題です。こういう事情を見ると、ワークショップの「前提」を固めた方がいいように思うのです。

やはり研究・教育において、ワークショップは「知る作業」と「作る作業」が有機的に噛み合ったものであるべきです。アクティヴィティが必要だからと言って、文脈を除いて参加者に動くことを促しても、それが「知る作業」と関連していなければ満足度が下がってしまいます。

とりあえずワークショップの内容を「導入」「知る作業」「作る作業」「振り返り」の4つに分類し、その関連性を意識しながら「成果物」を生ませることに要点があります。まずは「知る」と「作る」を一体化させ、互いがなければ進行しない状況を作り出すと、参加者が「作業」を納得してくれると思います。

ちょっとワークショップに戸惑う若手を目にすることがあったので、初歩的なヒントで失礼しました。