内面のダイナミズム

富山大の新ワークショップのデザインがほぼ終了しました。今回は見学者がいる中でのワークショップですが、かなりディープな内面の作業が中心となりますので、見ていてあまり動きが感じられないでしょう。

そして「動きが少ない」ということは参加者である学生も実感することです。内面の分析や、レクチャーで把握した内容に意味を見出すという作業になるため、参加側の負担は少なくないでしょう。

気づいている人がいるかもしれませんが、「自己分析をして価値観を知ること」と「フランス文化の意味を考え、自分の価値観に接続すること」というのは、フランス・トライアングル研究会の経験がベースとなっています。あの研究会では自分の関心とフランスの文化、さらには地域文化を繋げることで、新しいプロジェクトを考案することが目的となっていました。今回は関心とフランス文化の接続です。それを「フランス文化のインプット」を含めて短時間で行うことが初挑戦となります。

ケースメソッドワークショップから継続し、レクチャーのレベルを一定以上に保っております。とにかく入門となるような生ぬるいレクチャーは行わず、学生の理解ギリギリを攻めます。つまり我々が面白いと思って研究している高度に専門的なことを提示することで、学生の心に何かを生み出そうと考えているわけです。というわけでやはり学生に多くを負ってしまうワークショップとなります。

今回は提示される知識の難解さに加え、作業が難解です。なにせ大学1年生を研究の入り口に連れて行くワークショップです。模造紙も付箋も使わず、脳内をひたすらダイナミックに動かしていくことが特徴的です。それによってこそ、関心と学問が深い部分でつながり、生きることと学問が結びつくはずです。人文系研究への道筋は、自分の「生」と学問の有機的結合だという信念で、このディープなワークショップを乗り切っていきたいと思います。