VERBE公式サイトスタート

元号が変わりました。元号はローカルですが、もっとローカルな研究会が新しい時代に向けて頑張っております。VERBEにお越しいただきございます。

メルマガ化していますが、目標はあくまで「教養の動詞化」です。端的に整理します。
VERBEの母体となっている「あずにゃんプロジェクト」は、高橋梓・松井真之介・山川清太郎によるユニットです。このチームでは「人文学の社会的実用性」を求めて「ケースメソッド」を展開させたワークショップを提供しておりました。

「ケースメソッド」とは「社会問題に取材した具体的なケースを読み込み、グループで解決法を討議する」という教育法です。よく分からない方は、ちょっと考え方を変えてみてください。

陰湿ないじめっ子がいたとします。「いじめをやめろ」という注意の声を聞こうとしません。しかしそんな子どもでも「金八先生」に感動し、放送後は「いじめやるやつ最低」なんてツイートをしたりします。

僕の実話だと、中学校の陰湿いじめグループが、当時僕が大好きだった鈴木彩子というロックシンガーにハマっていたという話を聞きました。口あんぐりです。

つまり、人は「物語」には感動できるのです。なぜそれが可能なのか?プルースト『失われた時を求めて』第一篇『スワン家の方へ』において、現実には同情せずとも、物語に同情してしまう人間の心理が見事に説明されています。まあ、人間は「お話」であれば共感してしまうのです。

ということで、「まずは「物語」「お話」を使って社会問題を再現しよう!」というプロジェクトが始まりました。我々が作った「職場のパワハラ問題」を学生にそれを読ませると効果てきめんであり、一気に共感が生まれます。ワークショップではそのような状態を作り出して終わりにするのではなく、そのタイミングで人文学の講義を行います。人文学を「社会問題を解決するツール」として位置づけるのです。

そしてこのワークショップはここで終わりではありません。「解決法」を知ったあとは、「実践」へと映ります。つまり「知識としてストックした人文知」を「使ってみる」ところまでを実践するのです。

これにより、

①社会問題への共感
②人文学を通じた問題解決のヒントの獲得
③実際にそれで問題を解決してみる
このような流れができます。ともすると「知識」としてストックするだけの人文学の教養が、一転して「社会の中で自分を動かす原動力」へと変化します。以上のように「知識を社会を生きるための力に転換する」ことを、我々は「教養の動詞化」と呼んでいます。

そのためにはどうすればよいか。たとえば語学ならば「社会を生きるため」でなければ何のために学ぶのかわかりません。しかし文学・哲学などの人文学は、「実践的ではない教養」を存在意義のようにしてきた過去があるように思います。ですが、実際はめちゃくちゃ「使える」ものなのです。そのためには「使い方」を徹底的に考えねばなりません。
VERBEが目指す「教養の動詞化」は、教養それ自体がとてつもなく実践的であることを実感し、「人文学は最強」と歌い上げながら楽しく濃密に暮らしていくことを可能にします。ともに人文学を片手に人生を切り開きましょう。